仲間と一緒にウォーカーと戦いつつ生き延びる”ジ・エスケイピスト:ザ・ウォーキング・デッド”は今後の運命を決めるゲームだった。プレイした感想(レビュー)やSteamの評判・評価、日本語化について。低スペックでも動作可能。Windows/Mac/Linuxに対応。
目次
君は本当のツラさを知らない
ツラい。勉強がツラい。就活がツラい。友達付き合いがツラい。っていうか友達がいないからツラい。
そんなツラさは幻想だ。
過去に独立系開発会社「Team17」が開発したインディーズゲーム「The Escapists」(ジ・エスケイピスト)は快作でした。
看守をぶっ倒して服を奪ったり、囚人と取り引きして禁止品を手に入れたり、自分で作ったスコップで穴をほる。塀の向こうに行くためにロープを改造して脱獄仕様にする。そして塀の外へ……
ってな感じの脱獄ゲームでした。人気海外ドラマ「プリズンブレイク」をお手本にしたような、夢のあるゲームでした。
そんな「The Escapists」が、アメリカや日本で大人気の海外ドラマ「ウォーキング・デッド」と合体して帰ってきた!
その名も、
「The Escapists: The Walking Dead」(ジ・エスケイピスト:ザ・ウォーキング・デッド)。
名称が長い。長いからここからは「ウォーキングデッド版」と略します。
で、このジ・エスケイピストのウォーキングデッド版ですが、なかなか骨の折れるゲームだったんです。
ウォーキング・デッドの世界で脱獄だ!?
このゲームは前作「ジ・エスケイピスト」のゲームシステムを元に、ウォーキング・デッド仕様に仕上げられた作品です。
ジ・エスケイピストがどんなゲームなのか知らない人のために、その概要を簡単に説明します。
ジ・エスケイピストのグラフィックはスーファミのようなドット絵が採用されています。
机をあさってアイテムを獲得し、アイテムをクラフトして新たなアイテムを生み出したり、そのアイテムで穴を掘ったり壁を壊したりできるというシステム。で、監獄から脱出を試みると。
この仕様を元に作られたのがウォーキングデッド版です。なのでシステムはほぼ同じ。前作をプレイしたことがある人ならすぐに慣れる…はずでした。
最終目標は前作とさほど変わってない
次に、ウォーキングデッド版のゲームシステムを簡単に言いますね。
ジ・エスケイピストの場合、最大の目的が「刑務所から脱出すること」でした。
しかしウォーキング・デッド版の場合、目的が少し変わりました。
例えば、「病院から脱出せよ」とか「あそこにいるゾンビを全部やっつけろ」とか、「燃料を手に入れろ」など、脱獄することからちょっとだけ遠ざかったんです。
目的がちょっと変わっただけで、実はそんなに変わってない…と思いきや、ウォーキングデッド版の場合あいつらがいるんですよ。
ゾンビがいるんです。ゾンビ。
みんな大好きゾンビの大群
ゲームやドラマだとゾンビは「ウォーカー」って呼ばれてるんですけど、こいつらが厄介なんです。
一人でやっつけようもんなら体力がかなり削られるし、大群が来たらまず死ぬ。
主人公「リック」をトレーニングさせたり、銃を手に入れられれば対抗できるようになるんですけど、それでもまだ恐ろしいんです。
地道なゾンビアポカリプス
このゲームでは、ウォーキング・デッド的な終末世界で、目的を果たすためにルーチンワークをこなしていく必要があります。
起床後の仲間たちとのミーティング、朝食、基地維持のための仕事、昼食、また仕事、晩メシ、就寝前のミーティング。
過酷な世界で生き残るためには、この一連の作業を確実にやっていかなきゃならんわけです。
ここで面倒くさがって探索ばっかしてると死にます。仲間が。その仲間がゾンビになって襲いかかってきます。
でもかろうじて救いがあって、仲間がゾンビに倒されたとしても、倒されてから大体30秒経つ前に仲間の近くに寄り添ってマウスでクリックしてやると復活します。
ルーチンワークをサボればサボるほど安全地帯にゾンビが侵入、というか発生するようになります。
ゲーム画面の右上に「ゾンビの脅威度」を示すパーセンテージが表示されていて、それが70%を超えるぐらいになるともう詰みですね。いたるところにゾンビが発生して、まずみんな助かりません。ご愁傷様でした。
↓牧場内でゾンビが大量発生し、仲間が続々と死んでいく様子。もう手に負えない。
仲間をとるか。旅にでるか。
しかしですね。ゾンビが怖いからといって、ずっと基地内で引きこもっていても世界は救えないんです。
なので、ルーチンワークをこなしつつ、休憩時間に基地の周りを探索しなくちゃいけない。
時には仲間の机から武器になるようなモノをかっぱらいつつ、目的を達成するためにさらに物資を集めていく。
仲間は最大三人まで連れて行くことができるし、仲間に武器や防具を渡して強化させることも可能。
武器にはピストルやショットガン、釘バットやバールのようなものなどがある。日用品から武器やアーマーを作ったりもできる。
そういう風にして、皆に装備を与えつつパーティを構成し、ゾンビの大群を蹴散らしていくわけです。
ただ、探索に没頭してると仕事をサボりがちになるし、サボりすぎると基地内にゾンビが発生するし、ゾンビが増えると他の仲間が死ぬし、何事もバランスが必要です。
人生は映画のようにうまくいかない
逆境からはい上がる映画って大抵「修行シーン」があって、そういうシーンって颯爽と流れていきますよね。
で、そんな映画を見て「俺もシルベスタ・スタローンみたいに頑張る…!!」という意気込みで勉強に取りかかってみてもなかなかうまくいかない。そんな高校生活でした。
人生は映画みたいにうまくいかないし、努力は映画のように一瞬で終わるものでもない。
この世は地道に努力していかないと成功しない仕組みになってる。このことに気づくのが遅いと、気づいた時には無職になってます。
簡単にいうと、このゲームもそんな感じになっています。人生で味わう苦役をゲームの中でも味わうという、とってもしょっぱいゲームなんですコレ。
ゲームはドラマのようにうまくいかない
ドラマの方のウォーキング・デッドだと、生活してるシーンや探索してるシーンは滑らかに、そしてスリル満点に流れていきます。
ただこのゲームは…地味。全てにおいて地味。
全5ステージ用意されていて、ステージの最初は何も持っていない状態で始まる。もちろん無一文。
仲間から頼まれるクエスト的な「おつかい」をこなすと、お金がもらえる。ドラマではみんなお金のやり取りはしてないけど、ゲームの方だとお金の概念があるし、なぜかショップもある。世界観がちょっとおかしい。なぜかお金に価値がある。
まぁそんなことは置いといて、とにかく最初はスッピンピンの状態でスタートします。
そこからが長い。言うなれば苦痛である。
トレーニングをする時はQキーとEキーを連打。仕事は、汚れた洗濯ものを洗濯機に入れて→待って→取り出すの単純な繰り返し。他にも調理場や製鉄所などで出来る仕事があるけれど、基本的に単調で退屈です。
そして基地の周りを探索して、使えそうなアイテムを自分の机に少しずつ保管していく。
で、寝る。
起きたらミーティングして、朝メシ食って、探索して、仕事して……って超地味じゃねーか!!
マゾになる覚悟はあるか
そうなんです。このゲームは目的を達成するまでの過程がめっちゃ長いんです。
たぶん、一つのステージをクリアするまでに途中でやめちゃう人がいてもおかしくない。
正直マゾですよマゾ。このゲームが好きな人はマゾだと思う。だからきっと私はマゾです。
ジャーナルを開くと達成すべき目的が表示される。その目的を達成しようと頑張ってみるんですけど、なかなか達成できない。
「燃料を集めてこい」と言われましても、その燃料はどこにあんねん。燃料を入れる容器はどこやねん。その容器につけるチューブはどこにあんねん。
筋トレしないとHPは増えない。本を読まないと賢くなれない。バカだとクラフトの幅が広がらない…。
とにかくやることが多いし、見つけなきゃいけないモノは巧妙に隠されてるし、プレイしてるだけで苦しい。
頭と手で謎を解け
でもですね、途中で諦めるのはもったいない。
このゲームの憎いところは、少しずつできることが増えていって、ほんの少しずつ進んでいくところなんです。
だから、同じところを探索するのは無駄ではないし、そうすることで突破口が見えてくるかもしれない。
何が難しいって、マップの謎を解くのがムズいんですよ。
壁とガレキで囲まれていて完全に入れなさそうな場所があったり、武器庫は頑丈なカギで施錠されていたり、一筋縄ではいかないミステリーがある。
クリアするためには頭脳と努力が必要なんです。
「あのアイテムはどう作って、どう使えばあそこを突破できるんだろう…?」そういう疑問を常に持ち続けることになります。
しかも最終目標以外にも、「落ちているマンガをコンプリートしようぜ!」みたいな要素もあって、それを達成するのも難しい。いや面倒くさい。
ストーリーはドラマのネタバレ満載だよ
ってなわけでウォーキングデッド版は「ルーチンワークをこなしつつ、ゾンビの脅威に耐えて、仲間と一緒に目標を達成する」っつうゲームなわけですが、あんまりおすすめできません。
なぜかというと、本作はウォーキング・デッドを元に作られているので、ゲームのストーリーがドラマの方のストーリーとほぼ一緒なんです。
リックの妻ローリ。息子カール。女剣士ミショーン。そしてハーシェルおじさんなどなど。ドラマで登場した人物が、そのままゲームの方でも登場します。
だから、まだドラマを観ていない人には、このゲームは全くおすすめできない。
だってウォーキング・デッドめっちゃ面白いし。ストーリーを知っちゃった状態でウォーキング・デッドを観るなんて考えられませんし。
このゲームをプレイしたいならドラマを観てからですね。まだ観てないなら出直してこい。
最後に:ボクと一緒に「向こう側」に行こう
確かにこのゲームはキツい。何から何まで自分でしないといけないし、ルーチンワークから外れた行動をすると仲間がゾンビに変わる。
そして、ゲームに慣れるまでが長い。ルールや仕様を把握できるまで大体二時間ぐらいかかる。その二時間で脱落するかどうか。そこに人間性が掛かってる。
二時間プレイしてそれ以上続けられるのであれば、「向こう側」を見る資格がある。ただし、30分もしない内に任務を放り出してしまうのであれば…「向こう側」に行く資格はなかったということだ。
二時間たえられれば光が見えてくるはずだし、耐えられなかったらそこまでの人間だったというだけです。そういう人は今後一切、実生活の中で大成功をおさめることはありません。この作品は、あなたの運命を決めるゲームです。
人生はつらいことばかりです。でも、正確な努力をしていれば必ず報われます。このゲームは我々に問いかけているのです。
「お前は努力できるんか?」
ってね。
とにかく二時間。この二時間で人間が決まります。そして本番は二時間経ってからスタートします。
五時間プレイすれば必ずあなたにも見えるはず。マゾの向こう側が……。
日本語化とかはよーわからん
こんなクッサイ文章を最後まで読んで頂きありがとうございました!
合格です。ここまで読む忍耐力があるのであれば、最低でもプレイする資格はあります!
というわけで、ここからは日本語関連のことを説明していきますよ。
まずPC版の場合、日本語字幕・音声(吹き替え)に対応してません。他にも対応している言語はありますが、基本ぜんぶ英語です。日本語化は期待しない方がいいです。
でも中学生レベルの英語力があれば、自分もその程度の英語力があるかどうかは疑問ですけど、とにかく英語が読めなくてもプレイしてればなんとなく操作方法ぐらい分かるはず。メニュー開けばのってるし。
そんなに心配しなくてもいいし、漫画のコマが映画的に動く感じでストーリーが語られるので、感覚で理解できますたぶん。
ドラマを観ている人にとってストーリーはないようなもんだし、心配ないさ。
世間の評価・評判・感想はまあまあ
「The Escapists: The Walking Dead」(ジ・エスケイピスト:ザ・ウォーキング・デッド)は、PCの場合はSteamとGOGで配信されています。Xbox Oneでも発売されているそうですが、詳しくは知りません。
Steam:The Escapists: The Walking Dead
GOG:The Escapists: The Walking Dead
記事執筆時点ではまだそんなにレビューは集まってないんですけど、Steamでの評判・評価は「ほぼ好評」になってます。
また、Windows/Mac/Linux(SteamOS)での動作がサポートされています。Windows 10、OS X Yosemiteで起動することを確認できました。
前作「ジ・エスケイピスト」のレビューはこちらから
前作「The Escapists」(ジ・エスケイピスト)のレビューは前に書きました。
男ならみんな脱獄に憧れますよね。夢を叶えてくれるゲームです。
こっちは普通に良作。あっ…
プリズンブレイクみたいな脱獄ゲーム「The Escapists」レビュー。脱走できず2ヶ月も時が経ってた
(以下、アフィリエイト)
海外ドラマが見放題な定番サイト「hulu」
「ウォーキング・デッド」(The Walking Dead)は、ゾンビはびこる世紀末な世界で、人間たちが争ったり愛しあったりする名作海外ドラマです。
ドラマを観てない状態で、ウォーキングデッド版をプレイするのはもったいなすぎます。ゲームの方だとドラマのネタバレだらけですし、ドラマを観てからじゃないと何がなんやら分からないと思う。
ウォーキング・デッドはhuluっていう動画配信サイトで観られます。
料金は税抜きで月額933円で、最初の二週間は無料で見放題です。二週間経つ前に契約を切ってしまえばタダでウォーキング・デッドが観られます。
つーわけで、アフィリエイトバナー貼っときますね!