『デウスエクス マンカインド・ディバイデッド』評価/レビュー 完成品のステルスFPSと不完全燃焼なオーグメント

シリーズ最新作Deus Ex: Mankind Dividedを、メインミッションを中心に進めてクリアした感想。物語は短く感じた。様々な新オーグメントを試す前にエンディングに突入したからだ。周回・ストーリーDLCありきの作りになっているのか。いや、遊び方を間違えただけだろう…。発売元はスクウェア・エニックス、開発元はEidos Montreal。

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まあまあ面白かった。しかしメインミッションが短いように感じた。後半にあのオーグメントやこのオーグメントにやらにプラクシスキットを振り分けて敵を殲滅しようと思っていた矢先に、エンディングを迎えてしまった…! おいおい嘘だろ…。

補足

  • オーグメント(AUGMENTS)=主人公「アダム・ジェンセン」が体を改造することで得られる特殊能力、またはサイバー技術を利用して人間の持つ力を向上させる行為のこと。
  • プラクシスキット=Praxis kit。オーグメントを会得、あるいは一段階強化するアイテム。経験値を一定値まで貯めたりすることで入手可能。

『Deus Ex: Mankind Divided』は普通の人間と機械化された人間が対立するSF世界を元にしたステルスアクションFPSだ。遮蔽物に隠れるとカバーアクションスタイルになって、TPSにもなる。PC版を英語音声・英語字幕でプレイした。ちなみに前作の『Deus Ex: Human Revolution』は半分ぐらいしか進めておらず、前作との比較が出来ているわけではない。一作品としてのレビューと思って読んでもらいたい。

追記
2017年3月23日よりSteamにて、日本語DLCの「Japanese Language Pack」を無料でダウンロード可能になった。

冒頭で言った通りこのゲームは面白い。はじめは「う〜ん大丈夫か?」となって、操作に慣れ始めてくると「意外と良いかも」、その後は「まあまあ面白いじゃん…!」とこれまでに感じていたあやふやな気持ちが確信へと変わる。しかし最後で「これで終わりかよ!」とツッコミたくなるぐらい仰天させてくれた。終わり方が残念。

「シーズンパス、あるいは周回ありきの作りになっているのでは?」そう疑ってしまった。隠密行動が基本となるFPS(時々TPS)は、前作とほとんど変わっていないと思う。銃・弾・グレネードなどのアイテムをインベントリに溜め込んで、危機的な場面でそれらを放出していく方法もあれば、誰にも見つからない状態でミッションをクリアすることも可能。自由度はある。

しかし僕は新しいオーグメントを全然試せなかった。試す前にエンドロールが流れてきたからだ。こんなことなら序盤から新しいオーグメントを積極的に解放していった方がよかったよ。

隠密と交渉

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一周目にいろんなオーグメントを試せなかったのは味気なかったが、『Deus Ex: Mankind Divided』のステルスなFPSアクションは面白い。前作とほとんど変わっていない。だからDeus ExシリーズのステルスFPSは完成されていると言っていいと思う。相手の性格を考えた上で適切な発言を選ぶシステムも良かった。スリリングだったからだ。

ステルスFPS、時々TPS

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『Deus Ex: Mankind Divided』は基本的に一人称視点でプレイすることになり、カバーアクションの時は三人称視点になる。遮蔽物に隠れながら移動する時も三人称視点だ。

一人称視点だと敵の位置が把握しにくいが、三人称視点のカバーアクションへ移行することでFPSの弱点を補う仕組みになっている。

一人称視点でも敵の現在地が壁越しで分かるようになるオーグメントも存在している。だが、そのオーグメントを使うためにはバッテリーが必要だ。「GLASS-SHIELD CLOAKING」で透明化する時も同様。

カバーアクションの恩恵は大きい。三人称視点に移行すれば視野の広さが確保でき、敵の位置が分かりやすくなって隠密行動がしやすくなるしね。

マップの複雑な構造

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『Deus Ex: Mankind Divided』の主な舞台はチェコの首都プラハ(Prague)。それほど広くないオープンワールド風のマップだが、マンション上階の窓から部屋に侵入できたり地下通路があったりと複雑な構造になっている。ストーリーを進めると雪山にある施設に移動したりして、マップがミッション用のものに変わったりする。ゴーレムシティ(Golem City)のごちゃごちゃしたスラム街的雰囲気にはそそるものがあった。

ミッション用のマップにはカメラやタレット、ロボ等が配置されている。進入禁止区域に入っている状態で敵に姿を見られたらフラググレネード等で応戦しつつ通気口に隠れる、といった具合にステルスしながら銃撃戦をこなしていく。

マップの構造がいい。ハッキングしなきゃ通れないかと思いきや、自販機の後ろとか意外な所に通気口が隠されていて、そこから行けばハッキングする必要はそもそもなかった…なんてことが多々ある。「隠し通路・場所を発見する」という喜びが用意されているのだ。

ガードマンにワイロを払って進入禁止区域に入れたあとに別ルートを発見した時は悔しかったね。しかし、このゲームではそれもまた一興だ。

死体投げ

『Deus Ex: Mankind Divided』が面白いのはステルスゲームとして成り立っているからだ。NPCが他のNPCの死体を見つけたら、アラームを鳴らして警戒態勢に入ってくれるし。

穏便に任務をこなすためには死体を他の誰かに見つからないように処理する必要がある。「死体を掴んで放り投げる」というアクションが可能で、これが楽しい。

オーグメント化された主人公の腕力のおかげで、重いはずの死体が遠くの方まで飛んでいく。マップによってはこの仕様を使ってマップ外へ死体を放り投げられる。そんな外法が使える余地があり、それもまた「どうやって目の前にいるNPCを対処しようか」と考えさせる一つの要因となっている。

スタンガンで気絶させたNPCを、誰にも見つからない場所に投げて始末しよう。

スタンガンで気絶させたNPCを、誰にも見つからない場所に投げて始末しよう。

性格を思索

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物語を進めていくと主人公と敵対する登場人物と交渉していくことになる。この交渉がスリルがあって楽しい。

会話中に相手の性格が画面横に表示され、どの選択肢を選べばいいかヒントを与えてくれる。プレイヤーは三つの選択肢の中から相手を落ち着かせるような発言を選べばいい。

画面左上に相手の反応レベルを表すメーターも表示されていて、そのメーターの動きや相手の表情、選択肢を選んだ直後に流れる効果音。これらのおかげで「この選択肢で合ってるのかな…」と心配になってくるのだ。

メインディッシュのボリュームが少なめで空腹

ゲーム全体のボリュームは少なくない。主要な物語以外にも外伝的な「ジェンセンのストーリー(JENSEN’S STORIES)」があり、ミッション用のマップが一つ用意されている。これとBREACHモードを含めると全体のボリュームはむしろ多いぐらいかもしれない。事実、メインミッションだけをクリアしようとなると18時間ぐらいは掛かる。普通のゲームとしては十分な長さだろう。

けれども僕はメインストーリーが短く感じた。これからという時にエンディングを迎えてしまったのだ。いろんなオーグメントを使ってみたかったのに…。

メインストーリーが短め

『Deus Ex: Mankind Divided』のストーリーは前作『Deus Ex: Human Revolution』の続きからとなっている。本作から始めたとしても序盤で前回のあらすじが12分のビデオ形式で観られるから、前作をプレイしていなくても大丈夫だ。

しかしメインストーリーが短い。僕はそう感じた。サイドミッションをほとんど無視していたのが主な原因だろう。本作をプレイするならサイドミッション等の寄り道要素を一つ残らず潰していくべきだ。中ボスをやっつけたと思ったらそいつがラスボスだった…みたいなことになるから。

新オーグメントを解放する前にエンディングを迎えてしまった

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残念だったのは前作にはない新しいオーグメントを全然試せていないということ。最初は基本的なオーグメントを強化しておいて、後から新オーグメントにプラクシスキットを割り振ろうと思っていた。しかしまさかそうする前にゲームが終了してしまうなんて、思ってもみなかった。

一度エンディングまで進めるとNew GAME+がアンロックされる。New GAME+から始めるとエンディング時の状態が維持されたまま周回できるけど、そういうことじゃないんだよ。一周目の内にいろんなオーグメントを試したかったんだ。

そういえばかなりお金が貯まっていたのに全然使ってない。『Deus Ex: Mankind Divided』を一周しかプレイしたくないなら、貯まったお金を銃弾やグレネードにガンガンつぎ込んで、プラクシスキットを新オーグメントである「P.E.P.S.」や「TESLA」、「NANOBLADE」とかに割り振った方が楽しめると思う。

別に周回ありきのゲームが嫌いってわけじゃない。クォンタムブレイクみたいなストーリー重視のゲームでは、二周目から物語をより理解できたりするし。けどやっぱり『Deus Ex: Mankind Divided』では、プレイの仕方次第では一周だけじゃ不完全燃焼になってしまう。特にオーグメントが。

しかも隅々まで探索していて、なおかつとある選択肢を選べばラスボスとの対戦を回避できてしまう。オートセーブがあるから良かったものの、本当にラスボスと対決せずに済んだから拍子抜けしてしまった。(エンディングの後にセーブデータをロードしてラスボスと対決したが、かなり面白い。マップの複雑な構造やトラップ、ハッキングの要素が絡みあった素晴らしいボス戦だった)

『Deus Ex: Mankind Divided』のシーズンパスには、二つストーリーDLC、「システムリフト(System Rift)」と「クリミナルパスト(A Criminal Past)」が用意されている。

ストーリーDLCが外伝的なものなのか、メインストーリーを後付けするものなのか不明だが、そもそもDLC無しの状態でもメインストーリーは短い。そう感じさせる出来になっていたことが心残りだ。僕の遊び方が悪かったんだろうなぁ…。

補足
『Deus Ex: Mankind Divided』のシーズンパスのSteamストアページは、2016年8月28日時点では「おま国」となっていて日本からでは閲覧不可。グーグルのキャッシュからなら見られるかも。

『Deus Ex: Mankind Divided』のシーズンパスにはストーリーDLCが付いてくる。「システムリフト(System Rift)」と「クリミナルパスト(A Criminal Past)」の二つだ。

『Deus Ex: Mankind Divided』のシーズンパスにはストーリーDLCが付いてくる。「システムリフト(System Rift)」と「クリミナルパスト(A Criminal Past)」の二つだ。

最後に:周回とBREACHモードで補完せよ

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PC版のグラフィックはすごい。テクスチャをUltra、MSAAを2x、Sharpen(シャープにする設定)を有効にしていればグラフィックがとてつもなく高精細になる。そのぶん重いし、「GeForce GTX 1070」以上のビデオカードがないとキツいけど。高画質化Modが本格的に不要な時代がやってきた。

BREACHモードは『Deus Ex: Mankind Divided』のミッションを細かく砕いたものを一つずつクリアしていくようなゲームモードで、これはこれで楽しい。一つ一つのステージは小さいものの、『Deus Ex: Mankind Divided』のステルスFPSを堪能できるようになっている。

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ただ、ストーリーモードは「これで終わりかよ」と言いたくなるぐらいの出来だ。本作をプレイするなら、思う存分マップを駆け巡り、警察官をおちょくったりしてバカなことをしよう。ストーリーモードを周回するのもいいかもしれない。

あるいはBREACHモードをプレイして解放できなかった新オーグメントでステージをクリアし、そこでストーリーモードで得られなかったモノの埋め合わせをするのがいいだろう。

遊び方を間違えるな。

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ABOUTこの記事をかいた人

頭皮スカスカ系ゲーマー。ゲームの作品性よりも純粋なオモシロ度を重視しています。現時点で最高に面白いと感じたFPSは「レインボーシックス シージ」。「かまいたちの夜」の新作発売を願っています。流行にすぐ乗っかるタイプです。新作ソフトは速攻で売っちゃいます。よく誤解されますが鍵屋推進派ではなく「とにかく安く買いたい派」です。