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【ストーリーのネタバレ注意】Mafia IIIは偉業を成し遂げた。ほとんどのミッションが一本調子で本質的に変わり映えしないのは難点だが、カバーアクションを利用した後先考えない突撃プレイは超気持ちいい。1968年のアメリカにおける黒人差別観を若者が知ることに、このゲームの意義があるのではないか。
黒人差別がここまで酷いとは思いもしなかった。
マフィア3の舞台は、アメリカ南部にあるニューオーリンズを参考に作られた架空都市「ニューボルドー」。年代設定は1968年。「I Have a Dream」という一節を繰り返し使用した演説で有名なキング牧師が死んだ年だ。
ニューボルドーでは、黒人が白人に抑圧されながら生きている。黒人に対する差別用語「ニガー(nigger)」という言葉は、ゲーム中に何度も聞いた。警官たちは市民を理由もなく蹴りまくっている。白人専用のバーに黒人が入店すると、不審者として扱われる。
そんなマフィア3をプレイした。序盤のストーリーの盛り上げ方は「GTA V」のそれと匹敵する質で、「これはヤバくなるぞ…!」と思っていた。しかしその後は停滞。幹部クラスとの戦闘では一風変わった舞台が用意されるが、基本的に敵のアジトをカバーアクション有りのTPSで潰していくという一本調子。
こういう繰り返し系のゲームを僕は自分の中で低位置にランク付けしがちだけど(ディビジョンとか)、意外にもラストまで脱落せずにプレイできた。
エンディングまで続けられたのは、マフィアの大ボスが最後はどうなってしまうのか見たかったという願望、アホなNPC達による接待プレイ、1960年代のアメリカは非常に魅力的であること、この三つが大きな理由として挙げられる。
各スポットに置いてあるプレイボーイを集め、白人女性のたわわな果実をこの目でしっかりと見る必要があったのも、最後まで続けられた理由の一つだ。
目次
主人公のリンカーン・クレイが超かわいそう
リンカーン・クレイがニューボルドーに帰ってきた。彼はベトナム戦争で戦ってきた英雄だ。リンカーンが故郷に戻り、彼の家族はリンカーンが生還したことをジョークたっぷりに大いに祝う。
平凡な日々は一生続くものかと思われた。リンカーンの父「サミー」は、マフィア絡みの厄介事に頭を悩ませていたのだ。そんな父のためにリンカーンはハイチ人で構成された組織のボスをぶっ潰しに向かうのだが…。
ストーリーのあらすじはこれぐらいにしておこう。その後、リンカーンは憎悪で苦しむことになる。その出来事は残酷で、後味が悪いとか言ってられない。幸せは一瞬にして崩れる。
とにかくリンカーン・クレイがかわいそうに思えてきて、感情移入してしまうのだ。ニューボルドーを支配しているマフィアに対して彼が憎しみの念を抱くのも、おかしな話ではない。理路整然かつ王道なストーリー。
他のゲームと違うのは、ニューボルドーは黒人差別満載で、前時代的な場所だということ。しかしリンカーンだけはそんな壁はお構いなしに破壊していく。彼にはベトナム戦争で得た知略と腕っぷしがある。
行くのだリンカーン。負けるなリンカーン。このゲームをプレイすれば、誰もがそう思うはずだ。
細かな表情が心を揺さぶってくる
最近のゲームはすごいな、と思う。マフィア3ではカットシーンが多く挿入され、登場人物の顔がアップになる。顔が現実的で、プレイヤーの感情を揺さぶってくるのだ。
とあるキャラはベトナム戦争で多くの兵を殺してきたことをインタビュー形式で語り始めたり、別の女キャラは声を震わせて泣きそうな顔をしたり。その表情が悲しみに似たような感情がこもっているように見えて、なんとも言えない気持ちになってしまう。
有名な曲を使うという卑怯な演出
マフィア3では、洋楽に疎い僕でもどこかで聞いたことがあるような曲が、ラジオやカットシーンで多く使われている。エルビス・プレスリー的な曲とか、ジャズとか、「Born to be wild」って歌ってる曲とか。
そんな曲を盛り上がる場面で的確に使われたら、こちらも盛り上がらざるを得ない。
街中では古そうな型の車両がガンガン走っていて、工場や店も古い。雰囲気は古き良きアメリカ、という感じだ。そんな街中で古い曲をかけながらドライブするのは、その世界に入り込める感覚がして凄く心地いい。
繰り返し系ミッションが多すぎるが、悪くはない
マフィア3は三人称視点のカバーアクション・シューティングゲームだ。敵マフィアの裏ビジネスを乗っ取って、特定の幹部に割り振っていくことで、使える武器が増えたり、援護部隊の数が増えたりする。
ほとんどのミッションの内容は単純で、プレイヤーは各地にある敵マフィアのアジトを壊滅させればいい。あとはターゲットの一人を始末するか、尋問するだけ。尋問と言ってもある程度ダメージを与えれば敵は動かなくなるので、始末するのとほぼ一緒だ。
不満だったのは、ほぼ全てのミッションが本質的に同じだったということ。アクション面だけを見れば、時には音を立てないようにしゃがんで移動しながら、銃を使ってターゲットを殺していくだけのゲームだった。
そんなミッションが何十回も続くという稚拙さについては、さすがに言っておかなければならない。しかし本当にこれには幻滅した…と思いきや、実際はそうでもない。
意外と楽しいのだ。敵がたくさん待ち構えているアジトを後先考えずに突っ込むのが。楽しく感じるのはNPCが接待プレイをしてくれるからだと思う。
主人公が口笛を吹くとNPCは必ず主人公の近くまで「一人」で寄ってくるし、プレイヤーは警戒心のないそんなNPCをステルスキルで殺せばいい。
NPCは既に主人公がいない場所を注目し続けてくれるので、ピストルを撃って大きな音を出してしまったとしても、その場所から離れて別の場所からNPCを殺していけばいい。ターゲットを尋問している時は律儀にもNPCは攻撃してこない。
冷静に考えればアホ同然なNPC。しかしNPCの銃の威力はかなりのもので、ショットガンを一発くらうとそれが致命傷になる。油断は禁物だ。
「NPCはアホ」というより、NPCはプレイヤーが気持ちよくなれるように接待プレイをしてくれているという感じがした。
(海外PC版には)表現規制はない。欲望の赴くままに動け
僕はゲームでありがちなコレクション要素があまり好きじゃない。ポケモンを全種類集めるとか、特定の場所に行って特定のアイテムを入手するとか、超めんどくさい。
でもマフィア3のコレクション要素はすごい。明確な報酬が用意されている。それはヌード雑誌。マフィア3ではプレイボーイというエロ本が各スポットに配置されていて、それを入手すれば「すっぽんぽん」な状態の綺麗な外国人女性が載った雑誌を見られるようになるのだ。しかもほぼ全員が巨乳!(少なくともヨーロッパPC版には表現規制は無かった)
何かをコレクションするのは面倒で乗り気にならない僕でも、プレイボーイ集めには精を出した。考える前に行動していたので、やっぱりエロはすごいなと思った。
最後に:マフィア3の偉業
問題なのは一本調子のミッションだ。「GTA V」では様々な乗り物や武器でミッションをユニークなものに仕立て上げていたが、マフィア3では同じようなことの繰り返しが多すぎる。手抜きなのではないか?と疑ったぐらいだ。
そんなミッションであるにも関わらずプレイしてしまうのは、NPCが優しくてサクサク進行できるからだと思う。そして何より、ストーリーはどのように終わるのか見たかったというのが一番の理由だ。
裏ビジネスの割り振りを極端なものにしていると、幹部の一人がブチ切れて裏切ることもあったりして、組織を運営してる感も少しはあった。
物語の結末を言うのはネタバレになってしまうので伏せる(※軽くネタバレしてるけど)。ほんの少しだけ言うなら、ラストは大人なものだったということ(ハリウッド的なものを期待しているならがっかりするかもしれない)。エンディングロールが流れて少し経った後に衝撃的な事実がニクいやり方で判明したので、最後までプレイしてよかったと思う。
マフィア3はマルチエンディング方式をとっている。大ボスを倒してからどうしていくかはプレイヤー次第だ。僕は最悪の結末を迎えてしまった。やっぱり欲張っちゃいけないね。
アメリカの「黒人差別観」やマフィアの裏稼業情報をふんだんに盛り込み、実際の歴史に連動する形で、1960年代の雰囲気と共にストーリーを仕立て上げたのは意義深いことだ。黒人差別問題を黒人視点で見せつつ、50歳以上にしか分からない時代感覚を多少なりとも後世に伝えることが出来たのだから。
そう考えると、マフィア3はとんでもないことを成し遂げたのかもしれない。
大げさに言うなら偉業。マフィア3は偉業なのではないか。
〜Fin〜
(以下、アフィリエイト等)