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地下を拡張して麻薬を製造・販売し、販路を広げる経営シミュレーション+RTS+ブレイキングバッドみたいなPCゲーム「Basement」が面白いけどまだ買うな。その理由とプレイした感想、Steamでの評価・評判について。警察に賄賂を渡して家宅捜索を防いだり、育てた麻薬組織で他の基地を占領したりできる。
Basement(ベースメント)はこんなゲーム
ゲムスパで知ったんですけど、ずっとしたかったPCゲームにやっと出会えました!
その名も「Basement」(ベースメント)。意味は地下室。
で、どういうゲームなのかというと「ドラッグ(麻薬)を作って売る経営シミュレーション、あるいはリアルタイムストラテジー(RTS)」です。
具体的に言うと「科学者を雇って地下室でドラッグを作らせて、販売所までドラッグを届けて売る」ゲームです。
記事執筆時点だとまだ早期アクセス(アーリーアクセス、Early Access)なゲームです。完成版になると値段が高くなるパターンのヤツです。Steamでは評価(評判)はまだそれほど集まっていませんが、好意的に受け止められている様子。
開発元はHalfbusという独立系開発会社。Basementはいわゆるインディーズゲームです。
kickstarterで開発資金を募集してて、さらに目標金額まで資金が集まり、その後本格的に開発がスタートしてたみたいです。
※インディーズゲーム(Indie game)とは、個人または少人数のチーム(独立系開発会社)で開発されたゲームのこと。
プレイできる環境はWindows/Mac OS X/SteamOS + Linux。Windows 7とMac OS X Yosemiteでちゃんとプレイできました。
kickstarterで25,000ドル以上集めているので、将来的にはiOS/Android/Windows Tabletで遊べる時が来る…はず。たしかに、iPhoneやiPadで簡単にプレイできる感じではありました。
というわけで以下より、このBasementについて詳しく紹介していきます。
ドラッグを作って売るだけの簡単なおしご……サツが来たぞ!
今回紹介するのはバージョン0.1.2時点のものです。最新バージョンとは仕様が異なっている場合があります。
ゲームの流れは大体以下のような感じ。
- 空いている場所(1階〜地下)にドラッグを製造する部屋を作成
- そこに科学者や警備員(セキュリティスタッフ)を配置し、ドラッグを作らせる
- 完成したドラッグは勝手に保管室まで運搬してくれる
- 車が工場まで来たら、販売所まで自動的に運搬してくれる
- 販売所にドラッグが届いたら、売人が勝手にドラッグを売ってくれる
ドラッグは定期的に売れます。その利益で地下を縦横に掘り進めてドラッグ製造室や発電施設を作ったり、科学者と警備員を雇って警察から工場を守ったり、販売ルート(販路)を増やすために人員を送り込んだりする感じです。
ドラッグにはいくつか種類があって、最初は安いドラッグしか売れません(大麻のような、危険ドラッグのようなハーブ系)。
安いドラッグばかり売ってもジリ貧になるだけなので、麻薬組織として生き残るためには利益率の高いドラッグ(メタンフェタミンみたいなヤツ)を売っていかないといけません。海外ドラマのブレイキング・バッドでよく出てくる「クリスタル・メス」ですね。イメージとしてはそれです。
利益率の高いドラッグを作るためには専用の製造室が必要で、けっこうお金がいる。ドラッグを保管するための保管室も必要だし、そもそも電気(発電施設)がないとドラッグ製造室も保管室も作れない。
適当に部屋を作っていればなんとかやっていけますが、それはそれでもったいない。効率よく人員を働かせた方が儲かるからです。
例えば、ドラッグ製造室の隣には保管室があった方が科学者の移動を少なくできるし、各階には休憩室があった方が科学者は効率的に回復できます。
人員が働きやすいように効率を考えて地下を拡張していく感じが楽しいですね。
ドラッグを売るためにはそのドラッグを売ってくれる売人(ドラッグディーラー、麻薬密売人)がいる「販売所」を占領する必要があります。
経営しているメインの地下工場や販売所以外にも、他の麻薬組織の基地、ガレージ、駐車場とかがあって、未開拓な場所はなぜか警察が守ってます。
そういう警察がたむろしている所に警備員、あるいは科学者を送り込んで警察を倒せたらその場所を占領できます。
また、なぜか頻繁に警察のガサ入れ(家宅捜索)が始まる。
その場合は「警察と正々堂々戦う」か「警察にワイロを渡して見逃してもらう」という2つの選択肢を選べるのですが、状況に応じてうまくやっていかないと経営が立ち行かなくなる、そんなゲームでもあります。
警察のガサ入れはメインの地下工場だけでなく販売所でも行われることがあって、そこに警備員を配置していない状態で警察と真っ向勝負を挑むとあっけなく販売所が占領されてしまう。
▼家宅捜索が始まる前に人員を送り込み、警察ともみくちゃになっている様子
販売所が占領されるということは販路が閉ざされることと同意なので、今まで売っていたドラッグが売れなくなります。
そうなると保管室にドラッグの在庫で一杯になって、ドラッグを製造する意味もなくなる。だから、雇ったメンバーが数人死んででも販路を取り戻さなきゃいけないのです。絶対に。
運良く生き残った奴はレベルが上がって攻撃力が強くなるし、このゲームは攻めの姿勢で戦略的経営(という名の戦争)を仕掛けていくのが楽しい。
でも警察と戦ったところで警備員が死んだら雇うために払った経費が無駄になるし、警察と戦うかワイロを渡すかは状況に応じて適切に判断しないと詰みます。
雰囲気・世界観はけっこう良いよ
なんでこのゲーム、つまりBasementを買ったかというと、やっぱり「麻薬を作って売る」ゲームがずっとしたかったからなんです。
「Breaking Bad」(ブレイキング・バッド)っていうドラッグを題材にした海外ドラマがあるのですが、これがもうドラッグの作成方法から巨大麻薬組織(カルテル)まで扱っていてクッソ面白いんです。
ブレイキング・バッドの最終回(シーズン5)を見終わってからずっと「ドラッグなゲームがやりてえなあ」と思ってて、それがようやく世に出たわけです。やらずにはいられません。
しかもこのBasementは明らかにブレイキング・バッドを意識して作られてる。
▼警察が家宅捜索をしにやってきた場面。You(つまり自分自身)はブレイキング・バッドの主人公「ウォルター・ホワイト」にそっくり
全てがブレイキング・バッド色になっているわけじゃなくて、ちゃんとゲームゲームしてます。
ゲーム内言語は英語なんですけど、英語が分からなくてもなんとなく感覚でプレイできるし。
ただやっぱり説明文を理解できた方が進めやすいかなあ。あと、この手のゲームが日本語化されることはほとんどないので、日本語化にはあまり期待しない方がいいです。
別に難しい英文はあまりないので、中学生レベルの英語力があれば余裕でプレイできるはず。
グラフィックはインディーズゲームらしいドット絵だし、音楽は聞いているだけで「おれ悪いことしてるんじゃ…」と思わせる力がある。
一言で言ってしまうとドラッグを題材にした経営ストラテジーなんですけど、警察のガサ入れがあったり、ドラッグを運ぶための車が「アイスクリームの移動販売車」だったり、世界観とか雰囲気はとてもいい。
あとドット絵がかわいくないですか? この感じ、たまらないんですけど。
科学者が休憩室のソファーでタバコを吸って休憩してる感じなんかは少しイラッとしますが、やっぱかわいいよね。
最低でも半年後に買うべき理由
とまあ、世界観は最高なんですけど出来は全然です。まだまだ、いや、まだまだまーだまだまだまだまーだまだまだまだまだまーだ発展途上。すこぶる発展途上。
形はできてるんですけど、今はまだ基本的なことしか出来ません。
「もっと深く掘って地下100階まで拡張するぞ!」という意気込みでプレイしてたんですけど、地下3階までしか掘れませんでした。
保管室がドラッグで一杯だとドラッグを運搬中の科学者が保管室で止まってしまったり、まだまだ作り込みも甘い。
中盤までは科学者・警備員を雇用する際に掛かる経費と警察の対処で苦しんでたんですけど、途中で「警察にはワイロを渡しておいて、ドラッグの生産に集中した方が儲かる」ことに気付いて、その後はあっという間に超大金持ちな麻薬王になってました。とにかく、ゲームバランスも改善の余地がありまくり。
別にたくさん稼いだからといって「麻薬王になった!」みたいな実績が解除されるわけじゃないですけど。爆発的に稼げるようになると麻薬王になったかのような気分になれるだけです。
結論を言うと、まだ買うべきじゃないです。
そこそこ楽しめましたが、まだセーブすらできないのは痛かった。けっこう進めたのに、中断後はまた最初からプレイしなくちゃいけませんでした。セーブシステムは実装されるみたいなんですけど、こればかりは早めに実装してほしい。
実際に買うなら最低でも半年は待つべき。……う〜ん1年は待つべきでしょうか。
完成版に実装される予定の機能・要素
Basementはあと約6〜8ヶ月で完成するみたいです。予定通りいけば2015年の年末あたりに完成版をプレイできるはず。
完成版に実装される要素は以下のとおり。
- ランダムイベント
- 研究
- ルートアイテム(盗品)・パワーアップアイテム?
- ダイアログ(対話)システム
- ストーリー
個人的にはもっと深く楽しめるゲームになって欲しい。なんせ3時間でクリアできちゃいましたから。
今のままだと簡単に麻薬王になれます。やっぱり麻薬王って、激しい抗争とかを経てなりたいものじゃないですか。ノーマルモードとは別に超ハードモードがあってもいいと思う。
kickstarterのページや公式開発ブログを見る限り、マップシステムやGTAみたいな警戒度システムが実装される雰囲気。
ストーリーも楽しみですが、ここばかりは日本語化されないときついなあ。
ともあれ、ゲームとしてはちゃんと出来てたし開発が進めば骨太なゲームにはなると思う。いや、そうなって欲しい。
完成版がリリースされる前にhuluでブレイキング・バッドを見て予習しておきましょう。「ショーシャンクの空に」並みに面白いし、今世紀最大の傑作だと思う。
あと、根回しと裏切りでアメリカの政界をのし上がっていく「ハウス・オブ・カード」もすっごく面白いですよ。かなり大人な海外ドラマだけど。