No Man’s Sky(ノーマンズスカイ) 評価/感想/レビュー 睡魔と、未知なるモノを発見していくことの素晴らしさ

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ノーマンズスカイは広大すぎる宇宙を舞台とした、未知を発見・探索していくことに重きを置いたSFアクション・アドベンチャーだ。もっと続けたくなるような動機が薄いので早めに飽きる。しかしシームレスな移動と、自動生成(プロシージャル生成)された惑星の地形や動植物、その惑星での出来事は全て自分だけの体験になるという優越感は大変良い。自ら世界を広げていく姿勢を持つことは美しい。(以降、ストーリーの核心的ネタバレは伏せている)

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Steamのレビュー欄では「起動しない」とか「価格とゲームが見合っていない」とか「PCのスペックが高くてもカクつく」みたいなことが書かれているが、僕はあえて『No Man’s Sky』を擁護したい。確かにPC版では、発売日の2016年8月13日時点だと最適化が進んでいないのか「GeForce GTX 1070」を搭載したゲーミングPCでもカクつく。定価が6080円なのは高いと思う。

けど少なくとも僕は感動したのだ。『No Man’s Sky』が創りだす世界に。ただやはり、どうしても眠くなる。宇宙が広すぎるからだ。なおかつ、心を突き上げるようなモチベーションが湧き上がらない。探索・交易・戦闘、全てが中途半端で、まるで実験場のような宇宙。プレイヤーはさながらモルモットだ。

自分で世界を広げていく姿勢は美しい

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『No Man’s Sky』には1844京6744兆737億955万1616個もの惑星が存在する。広すぎる宇宙…言うなれば超オープンワールドな舞台で、プレイヤーは惑星間をロード無しでシームレスに移動できる。未知なる地形・生物を発見しつつ、洞窟があれば深いところまで探索していく。道中で小型宇宙船の燃料となるプルトニウムや鉄・プラチナ・金・亜鉛・チタニウム…など様々な素材を、銃としても使える「マルチツール」のレーザーで削ったり、素手で採取したりして集める。

「金」を掘れ!

「金」を掘れ!

集めた素材で、マルチツール・防護服であるエクソスーツ・小型宇宙船を強化してもいいし、希少な金属は市場で売りさばいてもいい。小型宇宙船で未発見地点まで赴き、異星人と仲良くなって彼らの使っている言語の単語を教えてもらい、言葉の世界を広げるのもいいだろう。

パトロールしているセンチネルドローンを倒したり廃墟を調べたりして、ハクスラ的に新たなテクノロジーを見つけて装備や船を強化していくのも、宇宙でサバイバルしていくためには必要なことだ。(ただし小型宇宙船に乗れるようになってくると足を使わずに宇宙船で移動することが大半になるので、惑星でのサバイバル感が劇的に減る)

宇宙ステーションにいた異星人。キモい。

宇宙ステーションにいた異星人。キモい。

では、僕はどこに感動したのか? それは目の前の風景が本当に惑星だったからだ。奇妙な地形、愛くるしい動物。毒々しい植物やSFチックな機械。急に盛り上がった山、あるいは海。確かに多少は自動生成感があるものの、筋の通った惑星だった。

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動物がかわいい。こちらからエサとなる資源を与えることで、動物の方から別の資源を与えてくれたりする。

動物がかわいい。こちらからエサとなる資源を与えることで、動物の方から別の資源を与えてくれたりする。

そんな惑星で高度な知能を持った生命体と交流を持ったり、各地に散らばる「知識の石」から異星人の使う言語の単語を覚えたりすることで、異星人の話の内容が少しずつ分かるようになっていくのも、徐々に世界が広がっていく感じがして良かったのだ。

プレイヤーの設定にもグッとくるものがあった。ゲームは小型宇宙船を修理することから始まる。プレイヤーは一から状況を立て直していく必要があるのだ。手探りな状態で道具の扱い方を学び、生き残る術を自分から身に着けていく過程には「この星で生きている」という実感があって最高だった。

このゲームの素晴らしいところは、興味のおもむくままに誰も知らない場所へ行き、誰も見つけていないモノを発見することだ。『No Man’s Sky』ではそれが簡単できて、その体験は自分だけのものになる。発見した惑星に自由に名前を付けられる機能があるのは、その体験を確かなものにするためだと思う。

宇宙を探索する「確固とした強い動機」がなくて眠い

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このゲームで出来ることと言えば、惑星の探索・資源の売買・装備や船の強化、ぐらいだ。あとは宇宙空間を縦横無尽に小型宇宙船で移動できたり、小型宇宙船を異星人から買ったり、スターフォックスみたいに小型宇宙船同士で戦えたりする。中心となってくるのは惑星での探索だ。

戦闘は一人称視点のガンシューティングだが、出現する敵は雑魚のドローンばかり。もっさりとした動作で物体を撃つだけのシューティングで、味気ない。

資源の売買は採取したものを売ったり買ったりするだけで、いたって普通だ。現実的な経済が成り立っているわけでもないし、価格はプレイヤー間の需要と供給で変わってくるわけでもない。

星系(星の集まり)の間をワープしたり、どこまでも続く宇宙の広さをマップで体感できたりするのは夢があって良い。というか、宇宙が本当に広すぎる。僕が名付けた星まで来れる人はまずいないと思う。

この星は「KUSO of KUSO」と命名した。見つけたらご一報ください。

この星は「KUSO of KUSO」と命名した。見つけたらご一報ください。

でも足りないんだよ。自動生成された惑星の違いが分かっても、素材を集めて船を強化しても心が満たされない。事実、プレイ開始から5時間を超える頃には「結局、探索して強化するだけじゃん」ということに気付いて、同じことの繰り返しに眠くなってくる。

別に宇宙戦争ができるわけでもないので「これ以上探索して意味あんの?」となるわけだ。要するにモチベーションが続かない。そうなると今後は色違い・形違いの惑星を見ても「ふ〜ん」、少し変わった動物を見ても「へ〜」となる。睡魔が襲いかかってくるのだ。(ただし、自動生成技術にはただただ感動するばかりだ)

最後に:皆と一緒に宇宙海賊ごっこがしたかった

パルスドライブ発動! キュイイ〜〜ン(超速い)

パルスドライブ発動! キュイイ〜〜ン(超速い)

他の宇宙船に襲われた時に一瞬スリリングになることはある。移動は全てシームレスだし、土台は素晴らしい作品なんだよ。しかし物足りない。「もっとやりたい!」っていうプレイヤーの動機を強烈にうながすシステムが貧弱だ。

燃料はどこにでもあるから気軽に小型宇宙船に乗ってほかの惑星に行ったり出来るし、マルチツールでザクザク鉱石を掘っていけるのは心地いいし、なんとなく続けたくなる部分もある。けれども、船や装備を強化したり未知なるモノを発見するという純粋な楽しさだけではモチベーションは保てなかった。

結局のところ僕は、『No Man’s Sky』をもとにした本格的な宇宙物のMMORPGで、宇宙海賊ごっこがしたかっただけだと思う(Elite Dangerousの方がまだ性に合ったのかも)。マルチプレイ形式のゲームではないことは事前に分かってはいたけれど、広すぎる宇宙でこれといった強い動機がないまま探索しつづけるのはキツいよ。たとえ軽いストーリーっぽいものがあってもね。

最後は『No Man’s Sky』を擁護して締めくくりたい。惑星が1844京6744兆737億955万1616個もある『No Man’s Sky』の方が、プレイヤーが2億1535万8979回死ぬと販売停止になる『The Flock』よりもマシだ。

2億人死亡で販売停止なゲームThe Flockはすぐ飽きる…途方もない現実に絶望している

2015.08.24

(以下、アフィリエイト)

PC版No Man’s Sky(ノーマンズスカイ)をSteamの1割引で購入。日本語化の必要はないが、多少の機械的な翻訳あり

2016.08.14