戦国武将漫画『キングダム』が超面白い。ネタバレ無しで魅力を語る

週刊ヤングジャンプで連載中の、情熱大陸に出演した作者「原泰久」による人気・名作漫画「キングダム」の面白さを解説。他の漫画では描かれないような人間の醜さが根本にあり、そのおかげで友情や愛が美しく引き立っている。アメトーークでキングダム芸人として紹介されたり、一部実写化されていたりと、定番漫画として定着されつつある。

広告

漫画通の皆様には「何をいまさら」と思われるかもしれませんが、「キングダム」という漫画が面白いのです。まだ読んでいない人のために、キングダムの魅力を核心的なネタバレ(誰が死ぬとか)を伏せて語っていきます。

中華統一を目指す少年と、圧倒的スケールで描かれる戦争。個性的な兵たちによる戦術・戦法に驚かされ、同時に人間の醜さもまざまざと見せつけられる。最高、最高の漫画じゃないですか…!

圧倒的なスケールで描かれる戦争

時は紀元前の春秋戦国時代、舞台となるのは中国大陸。主人公の少年「信」(しん)は大将軍を目指し、もう一人の主人公的な立ち位置の「政」(せい)は政権争いに巻き込まれながらも秦による中華統一の実現を目指す。そんな物語です。

すごいのはスケールの大きさです。兵は数え切れないほど、かつ細かく描かれます。中国大陸を舞台に軍師たちがあれやこれやと策略を練っていくところには、熱くさせるものがあります。

シヴィライゼーションやトータルウォーをプレイしたことがある人なら、広大な舞台で大きな軍を動かしていく魅力が分かるはず。それが漫画で描かれているのです。

少年漫画×知略

少年漫画だと力の大きさとか気持ちの強さだけで敵に勝ってしまう場面が多々あり(ドラゴンボールとか)、むしろそれが少年漫画という感じですが、キングダムの場合は少し違います。戦略とか戦術でピンチを切り抜ける要素が強くて、これがなかなか痺れるんです。

主人公の「信」以外に「河了貂」(かりょうてん)と呼ばれる軍師を目指し奮闘していく登場人物がいて、こいつの地頭が良い。例えば、敵国側による撹乱の匂いを一瞬で嗅ぎ取ったり、身内(秦国)の一部と内戦状態になる可能性にすぐ気付いたり。

他にも天才級の軍師や策士が多くいて、彼らによって作品の面白さがグッと上がっています。キングダムには「弱い主人公がどんどん強くなって敵を倒していく」という面白さと、「知略で敵の裏をかいていく」面白さもあるのです。一番面白いのは絶対に負けるであろう場面で、どんでん返しが起きるところですね。これがもう痛快。

また紀元前のお話しなので、銃が出てこない。長距離武器としては弓が主に使われていて、基本的に戦場では剣・盾を持った歩兵や、鉾を持った騎馬が活躍します。

銃が使われない戦争はどんなものなのか、想像できますでしょうか。マンパワー、つまりは人と人のぶつかり合い。歩兵がぶつかり合い、首が飛び跳ねたりします。血生臭いです。

補足
作品自体は少年漫画というより、青年漫画の方に分類されるそうです。

個性的で強い武将たち

キングダムには主人公が強くなっていく面白さと、敵の裏をかいていく面白さがある、と言いましたが、実はもう一つ面白い部分があるんです。それは登場する武将たちがみんな個性的だということ。(厳密に言うと、中には「これぞモブ」という人物もいるのですが)

例えば策略が得意な「知略型」、本能に従って作戦を変えていく「本能型」、あるいは復讐心が強すぎる異常者、登場するだけで全兵の士気を最大にまで上げる城主…など。

武将ごとに性格も考え方も違って、人間味を感じられるのです。僕が特に好きな武将は「桓騎」(かんき)です。元野盗の彼は、拷問・虐殺・凌辱など極悪非道な手段で敵を追い込むのが得意。

桓騎の魅力はやはり、「勝利のためなら何でもやる」ところです。他の武将が思いつかないことをさも当たり前かのようにやってしまうところがめちゃくちゃかっこいい。桓騎のような頭の柔軟性が欲しいなあ、と常日頃思っています。

桓騎は敵を脅したり怯ませたりするために、敵兵の死体でアート作品を作ってそれを敵側に送ったりもします。その時に生じた敵側の感情をも利用して、敵を罠の方へ誘い込むのです。やばくないですか。

桓騎の冷静沈着・極悪非道なところが大好きなのですが、これを言うと「こいつ中二病じゃね?」と思われるかもしれません。でもまあ…うん、読めば分かります。桓騎のこと、絶対に好きになるはずですから。

桓騎の、人間を知り尽くし悟りきっている雰囲気がクールなんです。ひねくれた人なら特に、彼に魅了されるはず。

人間の醜さが根本にある

先程紹介した桓騎という武将は、まさに「人間の醜さ」を体現しています。ただ、これも読めば分かるのですが、実は桓騎は「ただ合理的なだけ」なんです。他の武将だとプライドが高いというか、人格者が多いです。例えば主人公の信は「中華統一、中華統一」と綺麗事ばかり言ってます。

とある場面で、綺麗事ばかり言っている信が、略奪ばかりする桓騎のことを批判するのですが、桓騎は信に対し「俺が今まで会ったなかで(信が)一番の悪党だと言ってんだよ」と言い返します。(ここは名シーン)

なぜ中華統一を目指す信の方が、極悪な桓騎よりも「悪党」なのか。その理由はキングダムを読んで知っていただきたい。

キングダムの素晴らしいところは、人間の醜さから逃げずにしっかりとそれを表現しているところにあります。というより、人間の醜い部分こそがキングダムの根本にあると言っていいかもしれません。

家族に愛されなかったり裏切られたり、クーデターが起きたり…。そういう部分が描かれているからこそ、仲間同士の友情や軍同士の協力がより光り輝いて見えるのです。

最後に:歴史嫌いを変えさせる作品

僕は歴史にはめっぽう疎くて、「三国志」とか「春秋戦国時代」とか言われても「は?」と思ってしまうぐらい歴史という教科が嫌い…というか苦手な方でした。

勉強嫌いな人こそキングダムを読むべきかもしれません。読んだらきっと、歴史や勉強の見方が変わるはず。キングダムには勉強嫌いを変えさせる力があります。やはり、ストーリーの力は強大です。

キングダムの注目ポイントは「桓騎」です。この武将が現れたら確実に面白くなると言っても過言ではありません。例えて言うなら彼は、監獄に入れられても策略を使って入り口から正々堂々と歩いて出て来るような奴です。

キングダムに欠点があるとすれば、それは登場人物の名前に漢字が使われていて、その読みを忘れてしまうところですね。久しぶりに最新刊を読んだ時に「こいつの名前なんて読むんだっけ…?」となることが多いです。各登場人物の名前をしっかりと頭に叩きこみながら読むのをおすすめします。

少し読みづらい部分はありますが、そんなことが気にならなくなるぐらい面白くなっていく漫画です。人間の醜さを余すところなく描いているという点では、冨樫義博先生のハンターハンターと通ずる部分があります。

汚いからこそ光り輝く。キングダムはそんな漫画です。

補足
2016年10月30日に放送された情熱大陸では、「このペースでいくとキングダムは完結まで10年は掛かる」ことがナレーションで発表されていました。最低でも2026年まで連載されるのでしょうか。最終回まで生きましょう。

(以下、アフィリエイト等)

▼iPhone/Androidでは「キングダム -英雄の系譜-」としてゲームアプリ化

キングダム -英雄の系譜-

キングダム -英雄の系譜-
開発元:DeNA Co., Ltd.
無料
posted with アプリーチ

▼実は一部実写化されていたり

広告

ABOUTこの記事をかいた人

19歳の時から頭部が全体的にスカり始めた、毎日無職のような生活を送っている自宅警備員系PCゲーマー。現在の年齢は若者とオッサンの間ぐらい。ゲームはとにかく安く買いたい&高く売りたい派。ゲームの作品性よりも、プレイを通して得られる純粋な「オモシロ度」を重視。現時点で最高に面白いFPSは「レインボーシックス シージ」だと思っている。