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Homefront The Revolution 評価/感想/レビュー ゲームに対してグルメになってないか?

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私は猫なのかもしれない。最高級ステーキの味を知ってしまったら、スーパーで売っている安い牛肉など、どうでもよくなってしまうのだろうか。ホームフロント・ザ・レボリューション(PC/PS4/XboxOne)をプレイすると、どうしても途中で萎えてしまう。昔の私なら骨の髄までしゃぶれたのではないか。

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私は「グルメ」になってしまったのかもしれない

PC版『Homefront The Revolution』(ホームフロント・ザ・レボリューション)をプレイしました。PC版といえば、fpsが安定しないといった「パフォーマンス問題」や「日本語設定によるバグ(既に改善済み)」等がSteamのレビュー欄で指摘されており、少なくともPC版の評判は芳しくありません。また、「AIに対する不満」もネット上でよく見かけます。

しかし私自身は、オープンワールドFPSとしては『Homefront The Revolution』は面白い部類に入ると思ってます。そして、つまらないゲームだとも思っています。このゲームをプレイして率直に感じたのはその「古さ」です。キャラのバギーな挙動、確かに少し頭の悪いAI。

なぜか歩道にめり込んでいた「めり込むおじさん」

なぜか歩道にめり込んでいた「めり込むおじさん」

グラフィック設定を下げないと頻繁にカクつくので、いつもより設定を下げてプレイ。質の悪い光、ギザギザな影。この感じ、知ってる。10年ぐらい前の、初めてPCゲームに触った時の、あの感じだ。

グラフィック設定をかなり低くした状態。屋内における光の描写がグチャグチャだ

グラフィック設定をかなり低くした状態。屋内における光の描写がグチャグチャだ

いつからでしょうか。ゲームに対して不満を覚えるようになったのは。AIがどんなに理不尽でもグラフィックがどんなにペラペラでも、そんなの関係なく楽しめていた時期が私にはあったはずです。

ゲーム。それがあるだけで満足できていた自分は、どこに行ってしまったのでしょうか。10年前の私なら、「『Homefront The Revolution』はすんごく面白いよ!」と友達に自信をもって薦めるはず。でも今の私はそんなこと到底出来ません。

今の私は『Homefront The Revolution』の悪い部分を受け入れることができません。それはなぜでしょうか。猫に高いエサを与えてしまうとグルメになってしまうように、私自身がゲームに対してグルメになってしまったからなのではないでしょうか。

最近、本当に面白いゲームが増えたせいで評価軸がおかしくなってきている

屋外だとグラフィックの汚さがそれほど気にならない。古いと言われれば確かにそんな気もするけど…

屋外だとグラフィックの汚さがそれほど気にならない。古いと言われれば確かにそんな気もするけど…

「レインボーシックス シージ」に「ダイイングライト」、「クォンタムブレイク」や「フォールアウト4」。どれも傑作です。特に「レインボーシックス シージ」と「ダイイングライト」は”大”を付けてもいいぐらいの傑作です。この二作は面白すぎます。美女に逆ナンされるぐらいの衝撃でした(逆ナンされたことないですけど)。

そのせいでしょうか。『Homefront The Revolution』が劣っていると感じるのは。例えばリーンを使いたい場面が多々あるのにリーンという仕様がそもそも無かったり、AIが壁を挟んだ状態で意味もなく撃ってきたりだとか、主人公のHPが低くてやけに死ぬところとか、多少のパルクール要素にダイイングライトっぽさを感じたりだとか。あとAIの謎の挙動。

絶対にお前は通さんぜよ!と言わんばかりの「通せんぼおばさん」×2。通れるようになるまで時間が掛かった

絶対にお前は通さんぜよ!と言わんばかりの「通せんぼおばさん」×2。通れるようになるまで時間が掛かった

「シージならリーンできるのに…!!」と何回感じたことでしょうか。そもそもリーンがないFPSは多いですが、『Homefront The Revolution』の場合は敵をサクサク殺す爽快さのためにも絶対にリーンはあるべきでした。遮蔽物に隠れたりそこから頭を出したりして撃つことは出来るのに、なぜリーンがないのか理解に苦しみます。

…そう感じてしまうのは「レインボーシックス シージ」や「ダイイングライト」という大傑作FPSに出会ってしまったからだと思うのです。(ダイイングライトでもリーンは出来ないけど、軽快なパルクールアクションが主軸になっているから別にリーンが出来なくても特に問題はない)

「レインボーシックス シージ」は5対5の対戦型FPSで、毒ガスを扱う「スモーク」や、扉や壁を吹き飛ばすブリーチング弾が扱える「アッシュ」など、20以上のオペレーター(クラス)が用意されています。2016年秋には日本の特殊部隊SATが新オペレーターとして追加される予定です。ハンターハンターで例えると、攻撃系念能力者5人と防御系念能力者5人が一軒家で火花を散らすようなFPSです。

「レインボーシックス シージ」はFPSの新しい可能性を感じさせてくれる、とんでもないチーム対戦型FPSだ。クラス制と、エイムが下手でも情報戦や心理戦で勝てばいいところが魅力。

「レインボーシックス シージ」はFPSの新しい可能性を感じさせてくれる、とんでもないチーム対戦型FPSだ。クラス制と、エイムが下手でも情報戦や心理戦で勝てばいいところが魅力。

ダイイングライトはソンビがはびこる世界で悪戦苦闘していく、言ってしまえば「ゾンビサバイバルオープンワールドFPS」なのですが、これはまさに夢のようなゾンビゲーです。猿のように移動できるパルクール、近接武器がメインのサバイバル的な戦闘、猛ダッシュで追いかけてくるヤバイゾンビ達、そして昼と夜のギャップ。オープンワールドなゾンビゲームとしてあるべき姿を体現した唯一の作品です。

ダイイングライトをプレイせずには死ねない

ダイイングライトをプレイせずには死ねない

もしも「レインボーシックス シージ」や「ダイイングライト」に出会っていなければ、『Homefront The Revolution』に対してもっと違った「感じ方」で楽しめたはずです。これらの大作によって、自分の中にある評価軸が大きく曲げられたのではないかと思うのです。

最後に:10年前の自分なら、もっと楽しめていたはず

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『Homefront The Revolution』は、たとえPC版に問題があったとしても別にストーリー演出が悪いわけでもなく、ファークライ的に基地を占領していくプレイがつまらないわけでもありません。

例えばイエローゾーンと呼ばれる区域では、民衆に紛れつつKPA(アメリカを支配している軍)の上官を暗殺したりして市民の支持を集めていくわけですが、これはこれでスリリングで悪くないですし、ファークライシリーズとはまた違った逃亡サバイバルが楽しめます。

また、個人的には『Homefront The Revolution』の世界観が好きです。ハングル文字を使う国に占領されてしまったアメリカで、レジスタンスになって革命を起こしていくなんて最高じゃないですか。

市民を煽動して暴動を起こした時に出会った「出ていけおばさん」

市民を煽動して暴動を起こした時に出会った「出ていけおばさん」

ただ、AIのお行儀の悪さや「もっとプレイしてみよう」と思わせる配慮の無さがどうしても目立ってしまっているのです。PC版のパフォーマンス問題は別として、結局のところ主人公のHPの低さやAIの雑さとかそういうゲームバランスに関するちょっとした問題が積み重なっていることが、途中で萎えさせてしまう原因になっているのだと思います。

10年前の私なら、きっとそんなことを気にせず楽しんだことでしょう。しかし傑作の味を知ってしまった私はもう、マズい骨はしゃぶれないのです。たとえそれが、少しばかりウマい肉の骨だったとしても。

Steam:Homefront: The Revolution
公式サイト:ホームフロント・ザ・レボリューション

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