MacBook Proを加熱修理して1年。再故障したからまたオーブンで焼く

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MacBook Proの画面(ディスプレイ)が真っ暗になって映らない場合や、縦縞(線)・ちらつき・赤青緑になって表示がおかしい・起動しない…という現象が起きた場合は、ロジックボード(基板)のGPUを加熱(リフロー)すればあっけなく直るかも。再び実際にやってみた。

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画面がおかしいMacBook、実は復活できるかも

2013年の11月頃にMacBook Pro Early 2011(15インチ)が故障し、オーブンで焼いて修理してから約1年後。また画面がおかしくなりました。

この縦縞(たてじま)の美しい模様は久しぶりです。

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個体によっては画面が真っ暗になったり、青い、赤い、緑色、変に暗い…感じになっていることもあるでしょう。そうなっていた場合は逆にラッキー。不幸中の幸いです。

ディスプレイの描写がおかしい場合は、GPUのハンダクラックが原因である可能性が高いです。

※GPUとは、画像処理を担当する主要な部品のひとつ。

※ハンダクラックとは、半田が割れること。簡単に言うと基板と半田に接触不良が起きている状態。

結論から言いますと、このMacBook Proは修理できました。

方法は簡単です。MacBook Proのロジックボードを取り出して、オーブンでじっくり焼くだけです。

MacBook Proが再び壊れるまでの過程と、現在の状況

  1. オーブンでロジックボードを焼く。その後、2~3日に1回はレインボーカーソルが出てフリーズ
  2. オーブンで焼いてから2週間後、フリーズの頻度が劇的に減る
  3. オーブンで焼いてから2ヶ月後、2週間に一度はフリーズすることが判明
  4. オーブンで焼いてから2ヶ月半後、再び2~3日に1回はフリーズするようになる
  5. オーブンで焼いてから3ヶ月後、Mavericks 10.9.2へアップデート
  6. オーブンで焼いてから3ヶ月20日後、再びフリーズ
  7. アンチウイルスソフト「Sophos Anti-Virus for Mac」をアンイストール。代わりに「Avira Free Antivirus for Mac」をインストール
  8. 約8ヶ月間、全くフリーズしなくなる
  9. オーブンで焼いてから1年後。1年ぶりに画面の描写がおかしくなり、OSが起動しなくなる
  10. 再びオーブンでロジックボードを焼き、復活。OS X Yosemiteをクリーンインストールする
  11. 2度目の復活から1ヶ月。現在も無事動作中←イマココ

どうやら私のMacBook Proはゾンビのようです。いや、2度も蘇ったのでフェニックスに昇格させてもいいかもしれません。

初めて復活してから、二度目の復活まで何度かフリーズ(クラッシュ)しています。原因はウィルス対策ソフトでした。

当時使っていたMac専用ウィルス対策ソフト「Sophos Anti-Virus for Mac」はOS X Mavericksと相性が悪く、そのせいでフリーズが多発していたのです。

多発していたのは画面が乱れるタイプのフリーズではなく、カーソルがレインボーになって反応しないタイプのフリーズでした。

「Sophos Anti-Virus for Mac」をMacから完全に消し去って、別のMac専用ウィルス対策ソフト「Avira Free Antivirus for Mac」を代わりに使い始めてからフリーズすることはなくなったのです。

初めはオーブンで基板を焼いたせいで、他のパーツを壊してしまったのだと思っていました。

しかし、ウィルス対策ソフトを変えたことでフリーズしなくなったので、頻発していたフリーズの原因はウィルス対策ソフトだったと結論づけています。

というわけでMacBook Proを分解し、リフロー(加熱してハンダ付け)する手順を紹介します。

MacBook Proを分解し、基板を加熱して修理する

※この修理方法を試しても、Macが完全に直るとは限りません。この方法を試す場合は自己責任で行ってください。失敗しても責任は取れません…

※後述あり

今回はMacBook Pro Early 2011(15インチ)の修理方法を紹介しますが、この方法は別のMacでも応用可能だと思います。

ただし、本当に応用可能かどうかは確認していません。別の種類のMac機器でこの方法を試す場合でも、自己責任で行ってください。

本当にこの方法を試す場合は、以下のモノを用意し、別の記事を参考にすることを強くおすすめします。

▼用意したモノ

▼参考にした方がいい記事

Macを分解する際はiFixitを見ましょう。また、iFixitでも使われている分解ツール「Spudger」は絶対に買った方が良いです。これがあれば分解の難易度が劇的に下がります。

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裏蓋を開けるため、100均で買ってきた精密ドライバーでネジを取り外します。

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裏蓋を外しました。

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トルクスドライバーでたくさんのネジを外します。

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ファンを取り外したところ。ヒートシンクの排気口にホコリが詰まってます。故障の一因となり得るのでヒートシンクを取り外した後、エアダスターで飛ばしておきます。

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ロジックボードを取り外すとこんな感じ。MacBook Pro Early 2011シリーズの場合は電池を取り外す必要はありません。

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ヒートシンクやらその他もろもろを取り外します。

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チップの上に残っているCPUグリスを綿棒で取り除き、綺麗にしました。

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ロジックボードに余分なパーツが残っていないか確認。天板に割り箸を載せ、その上にさらにロジックボードを載せます。

別に割り箸はなくてもかまいません。割り箸の代わりに、アルミホイルをサイコロの形にしたものが数個あれば大丈夫です。

オーブンを250度で予熱し、予熱が完了したらロジックボードを投入。250度で11分焼きます。(※詳細は後述)

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焼けた後は20分ほど自然冷却します。早まらずにしっかり待ちます。1時間待つぐらいの余裕を持ちましょう。

ロジックボードが冷えたら、各チップの上にグリスを塗ります。後は組み立てるだけ。

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組み立てた後、起動ボタンを押します。問題がなければ起動するはず。日付と時刻がリセットされていたら、設定から調整しましょう。

本当に直ったかどうかを証明する手段が思いつきません…。とりえあず、Yosemiteはインストールしました。

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オーブンを使用する際、何度で何分焼くべきか

オーブンでMacのロジックボードを焼く場合、何度で何分焼けばいいのかが肝心になってきます。

グラフィックボードを何度も焼いている人は、210度で3分焼けばいいという持論を紹介しています。

参考:How to Renewing Damaged GPUs by oven. 「これから毎日GPUを焼こうぜ?」

しかし何度かオーブンで基板を焼いている内に、「何度で何分焼くべきかは、使用するオーブンや修理する機器によって変わってくる」ということを身をもって知りました。

試しに今回故障したMacBook Proの基板を予熱210度で3分間焼いてみました。しかし、一週間後に画面が乱れる現象が再発。

次に250度で11分焼いたところ、1ヶ月以上画面は乱れていません。

実際に1年前、基板を250度で11分焼いており、その後1年間は画面がおかしくなることはありませんでした。ただし、レインボーカーソルになってフリーズすることは多かったですが。その後、ウィルス対策ソフトを変更したことでフリーズしなくなった…というのはさっき書きましたね。

つまり、何度で何分焼くべきかは誰にも分かりません。自分で探っていくしかないということです。

実際にオーブンで基板を焼いてみる場合は、とりあえず210度で3分焼いてみましょう。

それで長期間、画面の乱れが再発しなければ大成功ですし、問題がすぐに再発したらまた焼けばいいのです。

私が使っているMacBook Proの場合は、250度で11分焼くのが正解でした。ただし、これは焼き過ぎの部類に入ると思います。

「250度で11分焼くのが正解」ということが分かるまで、たぶん3回以上は基板を焼いてます。

オーブンで基板を焼いたのにまた画面が変になったなら、少しずつ予熱の温度と焼く時間を増やしてみましょう。少しずつというのがキモです。一気に温度を上げると壊れちゃうかもしれません。

例えば、210度で3分焼いても2日ぐらいしか延命しなかった場合は、次は230度で6分焼いてみるのがいいでしょう。そういう風に少しずつ予熱の温度を大きく、加熱時間を長くしていくのがベストです。

また、ヒートガンやドライヤーでGPU部分を加熱する方法もありますが、やったことがないので詳しくは知りません。

オーブンでMacの基板を焼いた感想

初めてオーブンでMacBook Proの基板を焼く前は、「こんな方法で直るわけないじゃないか!」と思っていました。

しかし実際にやってみると、意外にも簡単に分解できてあっけなく復活してしまったので、あの時の迷いは何だったんだろうと今になって思います。

ちなみに、オーブン機能付きの電子レンジで挑戦する場合は、絶対にチンしないでください。電子レンジで基板を加熱するわけではありません。必ずオーブン機能を使って加熱しましょう。